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虎屋捕物
「フクロウさんが随分動き出してるようですなぁ」
訛りのある喋り方で、虎屋・獅鉛は剣呑に喋りだした。
「――どうするんだよ」
儀間鷲・誉麗に睨まれる。フクロウの動きから、虎屋を狙っているのは確実だった。それを悟らない儀間鷲でもない。
「どうするも何も、今まで通りのらりくらりとしたいんやけどねぇ――そうもいかんかぁ」
はは、と乾いた笑いこぼしながら、虎屋は考える。
一人一人向こうは減らしてくる構えだ。だとするならばこちらも考えがある。
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「虎屋が武装集団を形成してるぅ!?」
ハラナキから一報を聞いた匙・当適は思わず眼鏡がずれた。
「はい! ――それが、しかも無関係の民間人も含まれているらしく……!」
ハラナキ曰く、強制されているわけでもなく自ら戦いに身を置いているほどの気迫があったという。
「……虎屋……なにかしら『異能』をもっているな……?」
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「さて! ぎょーさん働いてもらうでぇ!」
虎屋は笑いながら集めた人々に拍手を送る。銃剣はもとよりそれぞれよりみどりの凶器! ……フクロウさん、これには驚いてくれまっせ?
「これで勝てたら大金星や、フクロウさんの面目を丸つぶれにしておかんとなぁ」
コツコツ、歩きながら進んでいけば、うつろな目をした人々と目がかちあう。強制的な支配、マインドコントロールと言えるもの。それが虎屋の力の正体。ついぞフクロウはその正体を掴みあぐねていたが、これで手札は出してしまう。しかし思い切り出さないと、黒武者の二の舞になってしまうだろう、それだけは避けたかった――それに、思考を巡らせる。
「ま、いくら高飛車とはいえ女を泣かせたくはないな」
儀間鷲の今にも泣きそうな顔が浮かんだ。まったく、生意気な彼女らしくない。
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