戦乱
繁華街の影、それを認めたのは偶然か、それとも相手の挑発か。
虚ろな目をした人々が居た、それがどこかへ向かおうとしているのを、ハラナキは見つめる。
「……これが『正体』でありますか――……」
一呼吸置く、追いかけていることを相手に勘付かれてはまずいだろうと身を潜めようとした。
「おおっと。フクロウのハラナキはん?」
「――……!」
その背後から、重たい衝撃がハラナキを襲った。
「ぐ、が……!」
「そろそろこっちも動かないとあきまへんねん、分かってくれまっせ?」
「――こちらハラナキ、虎屋を発見、危急、であります……!」
「おやまぁ、こんな時でも仕事熱心なことで」
●
「ハラナキ! ――……」
匙・当適は目を伏せ、それから立ち上がった。
「連絡が入った。ハラナキから緊急の連絡。おそらく『大物』が釣れたに違いない……現場へ急行して欲しい」
重く息を吐く、すでにことは起きた、憂慮しても致し方のないことではある、が。
「……無事で、居てくれよ……」
●
「やあ! 皆様おそろいで!」
現場に向かった者達が見たのは、笑顔のハラナキだった。
――そして、ハラナキの隣には軒・ミヂカ。さらに、率いるように武装した一般人、と思しき人々を待機させている。
背後に控えるは虎屋・獅鉛。――人を操る能力を行使しているのだろう。
「……操られている、か」
その様子を見た区切・終は大きくため息をついた。相手の能力上覚悟していることだったが、見知った仲がこうなっていると、くるものがある。
「――おじさんもちょっとノルマ達成できてないんでねぇ。邪魔しないでもらえる?」
肩をすくめる、こんな大掛かりなこと、本当はやりたくなかったんだけどね、と付け足して。
「さあ、戦うでありますよ! これも世のため人のため! いざ――!」


